日ごろ、飲食店で見受ける「おしぼり」。
おもてなしの精神を大事にしてきた日本で、おしぼりは生まれたと言われています。

現在ではこの日本生まれのおしぼりも、広く海外でも使われるようになりました。

おしぼりの起源は古事記や源氏物語が描かれた時代、8世紀ごろにまで遡るとされています。
その由来は、当時のお公家さん(朝廷に仕える上流階級の貴族や官人)が、お客様を家に招く際に濡れた布を提供したことに発します。
外からやってきて、手や顔、首回りなんかを濡れた布で拭くだけでさっぱりしますよね。訪れたときにおしぼりを渡してもらえたら「ここまで来てくれてありがとう、おつかれ様」というような声が聞こえてきそうです。古くからこまやかなおもてなしの心が日本には宿っていたのですね。
そして室町時代には旅人が宿泊する宿の玄関には、木綿のてぬぐいが、水を張った桶とともに用意されるるようになりました。旅人は手ぬぐいを水で浸してしぼり、それで汚れた箇所などを拭いたそうです。
その絞る行為からおしぼりと呼ばれるようになりました。
今は手と顔を拭く用途で使われるおしぼりですが、当時は、一日歩き通しだった足を拭いたりもしていたのでしょうか。そうしたおもてなしの心が、今世界中に浸透しています。

戦後復興で日本の飲食店が増加していくと、その過程で、戦中にはすっかり沈滞していたおしぼりの習慣が復活していきました。
そのニーズに乗じて、貸しおしぼり業が誕生しました。その後日本の外食産業が発展していくと比例して貸しおしぼり業が発展し、さらに紙おしぼり業が生まれ、今日に至ります。